新たに麻雀のお店を経営する場合、全く分からない状況からのスタートでしょう。特に麻雀に興味があった訳でも、麻雀が好きであった訳でもない人が、何らかのきっかけで雀荘を引き継ぐことになったならなおさらです。当初は、周囲の反応を気にする事で、胃が痛くなるような想いもありましたが、雀荘を訪れるお客様たちは、私と言う未知なる存在を温かく受け入れて下さったと、あるオーナーはいいました。彼の場合は、麻雀を遊ぶ人々というのはごく当たり前の日々で、その存在を特に意識した事などは、なかったのですが、年末の大掃除などで、雀荘の掃除を手伝っていると、「麻雀はね、音がいいんだよ。今度来な。音を聞いてごらんよ」などと、大掃除を手伝いに来た彼に、親戚がいつも語りかけてくれていた記憶があるといいます。今、雀荘のオーナーとして、麻雀卓を囲むお客様の姿を見守りながら、様々な人がここで過ごしていたであろう時間や空間を想うと、なんとも豊かな時間だなと感慨深く思うそうです。「麻雀は、音がいい」と言った親戚の言葉が、何やら私の人生の歯車を大きく変えて行きそうな予感がしています。引き継いだ携帯の電話番号に着信がある度に、古くからの知り合いからのメッセージが届くような面持ちがしています。わざわざ麻雀卓を囲みに来るお客様が、どうしてこのお店を選んだのか、これから自分は学んでいかなくてはならないのだと、経営者として生きる意志を強く感じるようになったそうです。

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